経理をやっていて、
細かいことなんだけど迷ってしまう、
請求書や領収書の疑問あれこれ。
ネット取引を中心に、まとめてみました。
経費にするためには、どんな証拠が必要?
まずは基本ですが、
経費にするためには、2つの証拠が必要となります。
①決済の証拠
②取引内容の証拠
まず①決済の証拠というのは、
ちゃんとお金を払っていますよ、ということを示すもののこと。
たとえば、
銀行振込であれば、通帳や出入金明細、
クレジットカードであれば、利用明細、
現金であれば、領収書やレシートが該当します。
一方、②取引内容の証拠とは、
どんな内容の経費なのかを示すものです。
たとえば、
請求書や契約書などがこれに当たります。
領収書やレシートについては、こちらにもなりえます。
(ただし、何を買ったのか、何代なのかが明記されている必要があります)
たとえば、コンビニで現金払いするときは、
レシートさえあれば、①②とも満たすことができます。
ここでごっちゃになりがちなのが、
領収書の位置づけです。
・領収書がないと経費にならない
・領収書は必ず発行しなくてはいけない
と勘違いされている方がいらっしゃいますが
必ずしも、そのようなことはありません。
他の証拠で①と②が満たされるのであれば、
領収書は要らないのです。
で、多くのケースでは、領収書は無くても大丈夫です。
たとえば、ネットで買い物をするケースでは、
決済手段は現金ではなく、
クレジット決済や銀行振込が一般的です。
すると、①については自分で用意することができます。
あとは、②をもらうようにすれば要件を満たしますが、
多くの場合、請求書や購入明細は送られています。
ですので、あえて領収書を保存したり、
領収書の発行を求めたりする必要はないのです。
お客様から領収書の発行を求められることがあり、
手間がかかってしまう、
というご相談をいただいたりします。
その場合、法律上、求められたら発行する義務はあるのですが、
お客様が領収書じゃないと経費にできない、
と誤解されているケースがあります。
「事前に送っている請求書で十分なのですよ」
と教えて上げると、
発行せずに済むのではないかと思われます。
なお、領収書(もしくはレシート)が必要となるケースとしては、
・請求書を発行していない場合
・現金で払った場合
が考えられます。
請求書を発行していない場合は、
②を満たしませんので、
領収書は発行する必要はあります。
現金で支払う場合は、
ちゃんとお金を払ったことを示す客観的な証拠を、
自前では用意することができません。
なので、受け取った相手に、
領収書を出してもらう必要があります。
とはいえ、領収書の発行は、
あまりしたいものではありません。
二度手間になる可能性もありますし、
決済を確認したあとでないと、発行できないからです。
先手を打つという意味では、
請求書や購入明細を発行して終わりにするのが理想ですね。
Amazon・楽天で経費になるものを買ったら
一方、お金を払う側として気をつけたいのが、
請求書や購入明細を保存する癖をつけておくことです。
とくに、ネットで決済を行うケースでは、
メールで通知が来たり、
ログインしてダウンロードする形になったりするので、
ついつい忘れがちです。
たとえば、
楽天市場で経費になるものを買った場合、
「【楽天市場】注文内容ご確認(自動配信メール)」
という件名でメールが来ますが、
これを保存しておけばOKです。
一方、Amazonの場合、話はそう単純ではありません。
注文と同時に、こういったメールが自動で送られてきますが、
これでは十分ではありません。
何を買ったか?が書いていないからです。
「注文の詳細を表示する」を押し、
右上の「領収書等」を押すと、
請求書と領収証/購入明細書が選べます。
どっちでもいいのですが、
請求書はすぐ発行されないので、
領収書/購入明細書でOKです。
このような画面が出てくるので、これを保存します。
なお、ネットで決済を行うケースで、
①決済の証拠として請求書や購入明細を保存する場合、
・2021年まで→原則として印刷して紙で保存
・2022年以降→データのままで保存(例外なし)
となっています。
私はネット取引で請求書や購入明細などを保存する場合、
Evernote Web Clipperを使っています。
こちらでEvernoteに保存したのち、
まとめて印刷するというやり方です。
ワンクリックで指定したフォルダに保存できるので、
非常に重宝しています。
ただ、執筆時点で、2022年以降もこのやり方が使えるのか、
具体的なところがまだ定まっておらず、
今後の動向を探っている段階です。
こんな請求書、あんな領収書ってアリ?
ここまで、
・②取引内容の証拠として請求書や購入明細があればいい
・領収書が必要なケースは限定的だがある
というような話をしてきました。
請求書や購入明細、領収書を発行する側として、
どんなものを出していけばいいのか、
迷うケースはあるかと思います。
たとえば、
オンラインで何か販売をする場合、
申し込みがされたら、
決済のご案内についての自動返信メールを送るとします。
この自動返信メールを、
②取引内容の証拠となるようにすれば、
自動で対応できてスマートです。
その場合、
内容として盛り込みたいものは、
①購入日
②購入金額
③購入内容
④売り手の氏名や名称
この4つがあれば、問題ないでしょう。
これらが記載されてあれば、
請求書や領収書を別途作る必要がありませんので、
ぜひ一工夫しておきたいところです。
なお、①購入日については、
自動返信で、申し込みと同時に送られていれば、
メールの送信日をもって①購入日、ともいえるので、
わざわざ明記しなくてもOKといえば、OKです。
(明記した方が親切ですが)
それから、以前いただいたことのある質問として、
領収書は紙で発行しなくてはないのか?
というと、決してそういうわけではありません。
むしろ、紙で発行してしまうと、
通常、5万円以上の場合、印紙を貼らなくてはいけません。
これが、PDFやメールで送ったりすると、
なぜか印紙は要らないのです。
対面でやり取りしていれば、
紙で発行して渡すのが自然ですが、
ネットで決済していて、
領収書の発行を求められた場合は、
わざわざ紙で作成して郵送する必要はありません。
請求書や領収書はどうやって作ればいいのか?というと、
会計ソフトとして、
freeeやマネーフォワード クラウドをお使いであれば、
その機能として、
請求書や領収書をつくることができますので、
そちらを使ってもよいかと思います。
弥生の方は、Misocaというサービスがあったかと。
もしくは、
Excelファイルの雛形がネットにたくさん出回っているので、
そちらを流用してもいいでしょう。
その場合は、
PDFファイルに変換してから送りましょう。
Excelファイルのままだと、いくらでもいじれてしまいますので、
領収書の意味がありません。
もっとカンタンなやり方で済ませたい、というのであれば、
PDFファイルで添付する形でなくても、
メール本文にダイレクトに書くことで、
請求書や領収書とすることも、問題はありません。
A4で印刷するような、
立派な体裁を整えなくても、
請求書や領収書とは言えるのです。
ただ、その場合でも、
①購入日
②購入金額
③購入内容
④売り手の氏名や名称
この4点を盛り込むようにしましょう。
とはいえ、メール本文に書くとなると、
かなり簡易的なので、
相手側が「これで本当に大丈夫なのだろうか…?」と、
焦っちゃうかもしれないですけどね。
実際のところ、大丈夫なことは確かです。
【編集後記】
昨日は、法人決算、メール対応、各種発信。
プロ野球がようやく再開。
平日は18時までにはなんとか仕事を終えない、
という事実をうっかり忘れていました!
【一日一新】
鮒谷周史音源
【YouTube更新情報】
内向的な人は経理に向いている